情報社会学会は、情報社会のあり方を学際的に研究する『情報社会・学』の確立をめざして設立されました。

現在、世界的な大問題とみなされているのは社会システムの機能不全です。これは第三次産業革命が本格的な“突破”前夜の混乱状態に陥っていることを示しているように思われます。こうした問題に対処すべく、自由な活動の規制や制度・政策の再編成のような、秩序の“創出”努力が払われるのが常です。

しかし、真に重要な社会変化は、大局的な規制や計画の努力ではなく、集合知に導かれた局所的なイノベーションの多発する試みの中から創発してくるのではないでしょうか。今日、智民の間には、地球環境問題への強い関心や、コミュニケーションとコラボレーションの重視などの特徴が顕著にみられます。ウェブやSNSが、かれらの「ソーシャル」な活動の重要な場になり、各種の社会的なネットワークをプラットフォームとする新たなコミュニティの形成がいたるところで起こっています。近代はpoliticalとeconomicがキーワードであった時代から、socialがキーワードとなる時代へと大きく転換しつつあるように見えます。

私たち情報社会学会は、情報社会の変化の波を見据えながら、その性質を解きあかしていこうとしています。会員の方々の積極的な活動を期待します。また、老若男女を問わず、情報社会に生きる智民の方々の学会活動への参加と共働を願っています。

 

令和元年5月
情報社会学会名誉会長 公文俊平