会長挨拶


情報社会学会会長 公文俊平

 情報社会学会は、ポスト産業社会としての情報社会のあり方や問題点を学際的に研究する「情報社会・学」の確立をめざして設立されました。情報社会では、新しい価値観やライフスタイルの担い手としての「智民」が誕生し、これまでの近代社会にみられた「威のゲーム」や「富のゲーム」とは別種の「智のゲーム」が広く普及するようになるとみられます。それに伴って、既存の「威のゲーム」や「富のゲーム」にも質的な変化が発生します。

 現在世界的な大問題とみなされているのは、地球温暖化や原油価格の高騰に代表される環境・資源問題と、金融危機に代表される社会システムの機能不全問題です。前者は、近代産業社会が“成長の限界”に直面しつつあることを、後者は、第三次産業革命が本格的な“突破”前夜の混乱状態に陥っていることを、それぞれ示しているように思われます。こうした問題に対処すべく、自由な活動の規制や制度・政策の再編成のような、秩序の“創出”努力が払われるのが常です。しかし、真に重要な社会変化は、大局的な規制や計画の努力ではなく、“集合知”に導かれた局所的な“イノベーション”の多発する試みの中から“創発”してくるのではないでしょうか。今日、産業社会から情報社会への移行という大局的な社会変化を創発させているのは、そうしたイノベーションの担い手となる“智民”たちだと思われます。

 智民の間には、地球環境問題への強い関心や、コミュニケーションとコラボレーションの重視などの特徴が顕著にみられます。ウェブやSNSが、かれらの「ソーシャル」な活動の重要な場になり、各種の社会的なネットワークをプラットフォームとする新たなコミュニティの形成がいたるところで起こっています。近代は、“political”と“economic”がキーワードであった時代から、“social”がキーワードとなる時代へと大きく転換しつつあるように見えます。

 私たち情報社会学会は、このような変化の波を見据えながら、その性質を解きあかしていこうとしています。そのためのツールの一つとして、このたび、学会のウェブサイトとSNSを統合することにしました。会員の方々の積極的な活用を期待します。また、老若男女を問わず、情報社会に生きる智民の方々の学会活動への参加と共働を願っています。

平成20年11月
情報社会学会会長 公文俊平


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